借地権の相続はトラブルが多い？注意点や流れを解説

借地権は相続財産のひとつとなるため、預金や有価証券などと同じく相続の対象となります。ここでは、借地権の相続におけるトラブルを防ぐための注意点や、手続きの流れなどの情報をご紹介します。

借地権は、地主の許可がなくても相続できる

借地権とは、住居などの建物を所有するために、地主から土地を借りて利用する権利のこと。この借地権は財産的価値のある権利とみなされるため、借地権を持つ借地人が亡くなった場合、相続の対象となります。

借地人は地主から土地を借りて利用していますが、子ども・親・兄弟といった法定相続人への相続については、とくに地主の許可を得る必要はありません。新規の借地契約や、賃貸借契約書の名義変更、それにまつわる譲渡承諾料も不要となっています。

ただし、余計なトラブルを回避するためにも、借地権の相続があったこと、誰が借地権を保有しているのかといった情報については、地主に連絡しておいたほうが良いでしょう。

相続人以外へ贈与する場合は、地主の許可が必要

法定相続人以外の第三者へ借地権を遺贈、または死因贈与をする場合は、地主の承諾と譲渡承諾料が必要となります。譲渡承諾料の目安は、路線価格や譲渡価格の約10％とされていますが、個々の事情に合わせて決定されるのが一般的です。

借地の名義変更は必要？

借地上にある建物の名義変更は必要ですが、相続した借地権については名義変更の必要はありません。一般的には、借地権を相続した旨を地主に連絡しておくだけでOKです。ただし、借地権が登記されている場合は名義変更が必要となるため、きちんと確認しておきましょう。

借地上の建物の名義変更については、遺言書あるいは遺産分割協議書、さらに必要書類を準備。すべての書類が準備できたら、法務局で名義変更の手続きを行います。申請に必要となる書類は以下の通りです。

• 被相続人の出生～死亡までの戸籍謄本
• すべての相続人における現在の戸籍謄本
• 被相続人の住民票もしくは除票
• 相続人の住民票
• 遺言書もしくは遺産分割協議書
• すべての相続人の印鑑証明書（遺産分割協議書を作成する場合）
• 固定資産税評価証明書

相続税について

借地権は相続財産のひとつとなるため、相続税が発生します。相続税の申告については、相続の発生を知った日から10ヶ月以内が期限。この期間内に申告を行い、相続税を納める必要があります。

借地権にはいくつかの種類がありますが、普通借地権と定期借地権等（定期借地権、事業用定期借地権、建物譲渡特約付借地、一時使用目的の借地権）で評価方式が異なります。

普通借地権の相続税評価額

普通借地権の評価額は、国税庁が発表している路線価をベースに計算を行います。計算式は、自用地評価額×借地権割合となります。

定期借地権の相続税評価額

定期借地権の評価額は、以下の要素に基づいて金額を算出します。

• A：定期借地権等の設定の時における借地権者に帰属する経済的利益の総額
• B：定期借地権等の設定の時におけるその宅地の通常の取引価額
• C：課税時期における定期借地等の残存期間年数に応ずる基準年利率による複利年金現価率
• D：定期借地権等の設定期間年数に応ずる基準年利率による複利年金現価率

計算式は、自用地評価額×（A÷B）×（C÷D）となります。

まとめ

専門業者のサポートでリスク回避を

地主だけでなく、ほかの相続人とのトラブルも多く見られる借地権の相続。トラブルを避けるためにも、どのような手続きや連絡が必要なのかについて、専門業者に相談しながら進めることをおすすめします。

底地や借地権を取り扱う会社は、それぞれ得意分野や特徴が異なります。そのため、どの会社を選ぶかは、ご自身の売却理由や状況に合った会社を選ぶことが重要です。

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