借地承諾書とは、持っている借地権の内容変更について地主から許可を貰うために必要な書類です。借地権は、ある建物を建てるための土地を地主から借りる権利。地主は、借りている間支払われる借地料によって利益を得ています。利益が関係するため、借り主の一存で変更を加えてしまうと、地主の不利益になるのは避けられません。金銭面や信頼面でのトラブルを防ぐために必要なのが借地承諾書です。
どのように借地権を活用したいのか、地主への説明や得たい承諾を文章で明記し、署名してもらうのが借地承諾書の役割。公的な書類になるため形式通りにきちんと書かなくてはなりませんが、ルールさえ分かっていれば作成も可能な書類です。内容が分かりやすく相手に伝わり、証書としてきちんと手元に残る形にしましょう。
借地承諾書が必要になるケースは、借地権を持っている限りいつどこで現れてもおかしくありません。借地承諾書は必要となるケースによって、さまざまな種類があり、書き方も異なります。自分が借地権をどのように利用するのかをよく考えた上で、借地承諾書の必要性と作成方法についてチェックしていきましょう。
借地承諾書を作成して地主から承諾を得なければならないケースをまとめました。参考にしてみてください。
借地権を所有している人は、その借地権を第三者に売却や譲渡が可能です。ですが、「他人の所有する土地を借りて自分の所有する建物を建て、それを第三者に売り渡す」という行為は、土地の所有者である地主に必ず連絡・交渉が必要になります。
無断で第三者に借地権を売却・譲渡しようとしたら、地主とのトラブルは避けて通れません。土地を貸している地主から見れば、何も言われずに知らない人物が自分の土地を使用することになります。不信感が募るのは当然です。承諾なしでの借地権売却・譲渡があれば、借地契約の解除をされても不思議ではありません。
借地権の売却・譲渡で借地承諾書を作成する場合は、「地主・自分・借地権を売却(譲渡)する第三者」という三人の人物が関係してきますから、意見が食い違ったりしないように客観的な文書を作成が必要です。また、借地権を売却・譲渡しようとする場合は板挟みになり、地主にも第三者にもコンタクトを取らなければなりません。手続きで混乱してしまわないように注意してください。
借りている土地に建てた建物を、誰か第三者に貸し出すことになった場合は「借地権の転貸(又貸し)」という状態になります。転貸を考えている場合も地主とコンタクトを取って、承諾が不可欠です。土地に建てた建物は借り主の物であっても、土地自体は地主の物です。地主は借り主が土地を転貸する相手がいることを知る権利があります。
この場合に用意すべき借地承諾書は、「転貸承諾書」や「譲渡承諾書」と呼ばれるものになります。前述の借地権を他人に譲渡する場合に使う借地承諾書は、そのまま転貸承諾書にも応用できるので覚えておきましょう。
借地権の転貸は借り主が利益を得る行為になります。利益の配分方法などは、土地を所有する地主にも関わる要素です。転貸を行なうなら、地主としっかり話し合っておかないとトラブルに発展しやすくなります。第三者と地主の間を取り持って、地主に無断で借地権の転貸をするのは避けましょう。
今、借地権で借りている土地の上に建っている建物について変更を加える場合も、借地承諾書を通して地主に許可を得る必要があります。ただし建物に加える変更と言っても、借地承諾書が必要になるのは以下のケースのみ。
大がかりな変更があれば、地主の承諾を得る必要があるというわけです。建物の骨格を変えず、簡単にリフォームするだけの「改装」や建物の中で壊れた部分を直すだけの「修繕」という程度であれば、借地承諾書を用意しなくて済みます。
建物に変更を加えようと考えている場合は、リフォームにするのか改築にするのか、必要な手続きの面も踏まえた上で決めるのが良いでしょう。また、借地上の建物は通常、契約書の中で増改築を禁じられていることがほとんどです。しかしこれは「絶対にやってはいけない」というわけではなく、「地主の承諾を得る必要がある」という意味になります。
借地権の契約期間中であるにもかかわらず、借り主の都合で契約を終了させたい場合は、地主の承諾を得てからでないと契約を終えられません。地主にとっては借り主との借地契約によって利益を得られていたわけですから、地主側の考えや話も聞く必要があるのです。地主は急に得られなくなった利益の分を補償される権利を持っています。
借り主の都合で借地権の契約を終わらせるためには、承諾書ではなく「終了通知」を作成。通知とは言え地主が承諾のサインをする必要があり、借地承諾書の一種としてみなされます。契約終了の際にも地主とのトラブルを避けるために、借地承諾書を作成する必要があるのです。
借地承諾書はそれぞれのケースごとに雛形が用意されていて、専門家を頼らなくても自力で作成可能です。ですが、借地承諾書を作成する際は、以下の点に注意してください。
借地承諾書を含めたすべての書類作成では、自分と相手の存在をハッキリ明らかにしておくことが欠かせません。借り主と地主が誰であるか、誰がどんな承諾を誰に求めているのかを改めて明記しておきましょう。
ビジネスや法律の文章のように、「甲・乙」という呼び方はしなくて大丈夫です。「貴殿・私」のような丁寧な手紙のような表記で構いません。
借地承諾書が必要になるケースは、前述の通り複数あります。借地承諾書はどんな内容を承諾してほしいのかを、しっかり書面の上で明記しておきましょう。
借地権を売却したいのか、転貸したいのか、それとも建物を建て替えたいのか…地主 に承諾を得たい事を間違いなく明記してください。また、承諾を得る対象となる土地についても明記を忘れずに。地主の持つ不動産についての承諾を得たいのか、所在・地番・地目・地積の情報について間違いがないように記しておきましょう。
承諾を得たいことの条件を、分かりやすく全て明らかにしておきましょう。例えば借地権の転貸をする場合なら、「誰に」「いくらで」「いつまで」「どんな目的で」貸すのかといった点を明記しておくわけです。ちなみに「誰に」を明記するにあたり、第三者が決定していなくても構いません。その場合は「反社会勢力には転貸しない」といった条件を記しておくのがベターです。
特に契約金額や期間はかなり重要な点になります。記載不備や不明点がないよう、しっかり情報を整理しましょう。
借地承諾書は課税文書とされるため、作成にあたり印紙税の支払いが求められます。印紙税の額は、借地承諾書に記載された契約金額によって異なります。1万円未満であれば印紙税は非課税ですが、1万円以上10万円以下で200円、10万円超50万円以下で400円…という具合に変動します。
ただ書類を作るだけではなく、印紙の手配も必要になるので覚えておきましょう。
借地承諾書の作成は決して簡単なことではありませんが、書面に記しておくべき内容をしっかり踏まえていれば、個人でも作成可能です。雛形を1つ用意しておけば、借地権に関するさまざまな事態でも対応できます。
ですが、お金と権利が絡む重要な文書であることは間違いありません。作成方法を間違えればトラブルに発展する可能性もありますから、自分で作るのは自信がないという人は、不動産知識のあるプロにお願いするのもおすすめです。専門知識・スキルのあるプロであれば、トラブルを避けてややこしい手続きもスムーズにこなしてくれるため、他のすべきことに専念できます。
底地や借地権を取り扱う会社は、それぞれ得意分野や特徴が異なります。そのため、どの会社を選ぶかは、ご自身の売却理由や状況に合った会社を選ぶことが重要です。
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※1 参照元:ランロウドオフィス公式HP(https://www.land-lord.jp/)
※2 参照元:2023年1月1日~2023年10月25日の相談件数5555件 Albalink公式HP(https://albalink.co.jp/realestate/properties-that-cannot-be-rebuilt-buyer/)