このページでは、底地の権利者が国や自治体の国有地や公有地の場合、借地権の売却方法や注意点などを紹介します。
底地の権利者が国や自治体などであっても、借地人は借地権を売却することができます。
国有地や公有地を借地として借りて家を建てるなんて、そうそうないように思うかもしれませんが、相続時に地主側が底地を物納したケースなど、底地所有者が国や自治体などとなることも十分あり得るわけです。
国有地や公有地の借地権が一般のそれと異なるのは、借地権を地主側に買い戻してもらうことができないという点。
つまり、第三者に借地権を売却する以外に手立てはなく、譲渡承諾料を国や自治体などに支払うということになります。
譲渡承諾料は路線価や公示地価をベースに算出されますが、底地と借地権を合わせて同時売却することも可能です。
普通の借地権と比べると、借地権割合の按分で借地人の比率が大きくなる傾向があり、借地権と底地の同時売却なら買い手も探しやすくなると思います。
国有地の借地権売却を例にとってその手続きを紹介します。
なお、一般的に底地の買受申し込みをしてから決定までには3ヶ月程度の時間がかかります。
民間業者と違うのは、手続きは財務省や財務局に出向かなくてはならず、書類関連だけでも4~5回は通うことになりますし、書類ミスがあれば修正して出し直すなど、柔軟な対応をしてくれることもありません。
公的機関と借地権売買のやりとりをスムーズにできる借地人はそうそういないでしょうし、こうした手続きは専門会社に依頼する方が間違いありません。
ただし、これは普通の不動産会社が得意とする事業領域ではなく、借地権取引に精通した不動産会社を選ぶ必要があります。
当サイトではそうした不動産会社をピックアップしていますが、その中でもセンチュリー21マーキュリーは借地権に特化した専門会社として10年以上の実績を持っている点がオススメ。
国や東京都などが地主の物件でも取扱実績が豊富で、借地権の直接買取にも対応しているなどが強みです。
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不動産は簡単に動かせない財産です。もとは丸ごと所有者のものである土地の権利を、「利用権=借地権」と「所有権=底地権」にわけて地主と借地人で分割しているため、とにかくもめごとになりやすいという弱点を持っています。
もちろん、裁判などの大きなトラブルにまで発展するケースばかりではありません。
ただ、いつ自分が相手側から訴えられるかはわからないのです。
裁判や調停は、倫理や道義的に正しい者が勝つというものではなく、ルールに則って法律的に正しい主張と証拠を揃えた者が勝つもの。
法律や不動産に関する専門知識を学ぶ必要はありませんが、「もしかしたら裁判になるかもしれない」「どういうケースで裁判になるまで話がこじれるのか」などを知っておくことも大切です。
実際にどういうケースで裁判が起きているのか、裁判所は借地権のもめごとに対してどのような判決を下しているのかがわかれば、「勝てない裁判」を起こされたとしても争いを避け、少しでも自分が有利な条件で借地権について交渉することもできるでしょう。
とはいえ、あらゆる判例を網羅するのは困難ですし、判例をすべて紹介すれば裁判に対する備えが万全になるというものでもないのです。
そこで、「借地権の裁判がいかに面倒か」を知るために、国有地の借地における裁判の中でも複雑かつ特殊な判例をひとつご紹介します。
裁判の経緯がかなり込み入っているので、わかりやすく箇条書きで裁判に発展した経緯をまとめました。[注1]
[注1]裁判所ウェブサイト:平成15年3月25日 判例[pdf]
簡単に経緯を説明するだけでも、事態が非常に複雑化しているのがわかってもらえるのではないでしょうか。
要するに、「国有地の借地をお金も払わずに利用している人がいたが、所有者である大磯町がきちんと動いてくれなかったので、ほかの住民が大磯町に代わって借地を不法利用している人たちを訴えた」という裁判です。
土地の所有者である大磯町ではなく、大磯町に住む住民が裁判を起こしたのは、「自分たちの税金で管理されている公道を不法に占拠されているということは、本来得るはずだった土地の利用料を自治体が回収しておらず、その分ほかの人が損をしていることになるから」でしょう。
結果からいうと、この裁判では不法占拠をしている住人に対して、退去する必要はないがこれまで並木敷を不当利用していた期間に応じた利用料を大磯町へ支払うように、という判決が出ています。
ただ、この判決に至るまでにも非常に複雑な議論が交わされているのです。
並木敷の不当利用をしていた人たちに対して、利用料の支払いを命じる判決を出したのは高等裁判所。
日本の司法システム上、いきなり高等裁判所で訴えることはできないので、第1審は横浜地方裁判所で行われています。
第1審でもほぼ同じ内容、要求での裁判が行われたのですが、横浜地裁では原告(不法占拠している人たちを大磯町に代わって訴えた側)が敗訴していました。
では、どうして第1審では勝手にコンクリートを敷設したり家を拡張したりして占拠していた部分の撤去や利用料の支払いが認められなかったのに、第2審の東京高裁では利用料の支払いが認められたのでしょうか。
細かい部分を省略すると、第1審で原告が敗訴したのは、「江戸時代からある道で大磯町に譲渡されるまでは道路の占有料を払って占有許可を得ていたし、持ち主が変わって新たに許可が取れてないからといってイコール不法占有だとはならない」「所有権をもらってすぐに立ち退きを求めなかったのは大磯町の管理不行き届きだ、というのは結論を急ぎ過ぎているのではないか。管理者としての対応に違法性はない」などの主張が認められたからです。
しかし、第2審では「なんだかんだいっても町道は大磯町の財産なので、あれこれ理屈をこねてもその財産を不当占拠する以上は利用料を支払わなければならない」「13年間も明渡し請求をしなかったのは大磯町側の怠慢である可能性が高い」という判決になりました。
この判例のように、一度裁判になると結果がどう転ぶかは未知数です。第1審で負けた側は控訴、上告とつぎの裁判を要求してくるのでキリがありません。
このようなことにならないためにも、国有地を借りている場合はできるだけ裁判を避けたほうがよいのです。
手続きの煩雑さばかりに目が行ってしまうかもしれませんが、国有地や公有地の借地権売却には、一般的な地主がいる借地権より優れた点が4つあります。
それぞれ順番に見ていきましょう。
借地権契約の期限がくると、多くの場合地主から「更新料」の支払いを求められます。更新料は、賃貸物件でいうところの敷金のようなもの。
とくに法的根拠のある請求ではありませんが、支払っておかないと契約の更新を認められないといった不利益を被るケースも少なくありません。
しかし、国有地や公有地の場合、国側は土地を使って儲けるつもりはないため、更新料の支払いが不要となります。
地主の代替わりなどもないため、代替わりに伴って急に地代が増額されたといったトラブルもありません。ゆっくりと時間をかけて借地権の買い手を探すことができます。
国有地の地代や譲渡承諾料は、国や地方自治体が調査して公表する路線価等を基準に計算されるので、一切ごまかしがありません。
路線価等の基準額は市場価格より3割から4割程度低くなっているため、地代そのものが安いケースも多いです。
底地の持ち主である国や地方自治体は、現金による納税の代わりに土地を回収しただけなので、できるだけ早く土地を現金化したいと考えています。
そのため、底地の場合は市場価格よりもお得に買い取ることができるのです。底地を買って所有地にしてしまえば、借地権のことを気にせずに不動産売却を進められます。
前述の通り、地主である国は土地を現金化したいと考えているため、「感情的なもつれ」等が原因で譲渡承諾や抵当権の承諾、売買契約の承諾を得られないという心配がありません。
条件の合う買い手さえ見つけることができれば、スムーズに借地権売却を進めることができるでしょう。
国は底地を勝手に第三者へ売却することはありませんが、借地権を買い戻してもくれません。そのため、国有地の借地権売却方法は基本的に「同時売却」一択です。
同時売却とは、国が持っている底地と自身が持つ借地権を、同時に特定の第三者へ売却する手続きのこと。
同時売却を国に申し込んで審査をクリアすれば、財務局のHPで購入希望者の募集をしてもらえます。
ただ、買い手との交渉を自分で行うと折り合いがつかない可能性が高く、また財務局とのやり取りが煩雑になるため、借地権売却に慣れている不動産会社の協力があった方がスムーズに進むでしょう。