このページでは、法律的なトラブル対処など借地権の悩み解決で頼れる弁護士事務所の対応サービスなどを紹介します。
借地権は地代や更新、増改築や建替えなどにおいて、借地人と地主との間で交渉がうまくいかないことがあります。借地人にしても地主にしても、借地借家法に精通している一般人はそう多くないでしょうし、平成4年に法律が改正されていることもあり、旧借地法に基づいて借地権契約を取り交わしている場合など、相続を機にトラブルとなるケースも珍しくありません。借地人の借地権は法的に保護されるとはいえ、地主との関係を悪化させるのは得策ともいえず、トラブル解決のみならずできるだけ事が大きくなる前に落としどころを探る意味でも、法律のプロで借地権に詳しい弁護士に相談するのがいいでしょう。
借地権に関連する借地人と地主とのトラブルで、法的サポートが必要となるケースとしては以下のようなシーンが挙げられます。
もちろん、この他にも様々なケースがあるわけですが、対応を誤ると借地人と地主との関係は悪化して、決着がついたとしても禍根を残すことにもなりかねません。また、地主との交渉では先方が専門家を立ててくることもあるので、自分だけで対処せず、早めに専門家に相談するのが安心です。
借地人が借地のトラブルに遭遇した際に利用できる法的手続きには借地非訟という制度があります。裁判所に申し立てる訴訟で、弁護士に依頼するか法律相談に対応できる不動産会社に相談することになるでしょう。借地非訟の主なものを以下にピックアップしておきます。
ちなみに、「借地非訟」として裁判所に訴え出ることができる権利は、すべてが借地に関するルールを定めた「借地借家法」によって保証されています。
借地の家を建替えする際、条件変更となる場合は地主の承諾が必要となりますが、地主が承諾してくれない場合に行う申し立てです。
多くの場合、借地契約では建てることのできる建物の種類や規模に条件がついています。よくある条件が、「非堅固物件(いわゆる木造住宅等)のみ」といったものです。
地主と交渉して条件を変えない限り、木造住宅を鉄筋コンクリートのアパートに建て替えるといった工事ができません。
そこで、裁判所に訴え出ることで、建築基準法の範囲内であれば借地条件の変更をすることができるのです。なお、借地借家法の第17条1項で申し立てが認められています。
大規模修繕に分類されるような増改築を行うには地主の承諾が必要です。老朽化した家を大幅にリフォームするようなケースも該当することが多く、承諾を得られない時に申し立てをします。
借地権は、通常では建てた家が老朽化や災害、建て替えを前提にした解体などで一度なくなると消滅してしまいます。勝手に増改築や建て替えを行うと、借地権契約を解除されてしまう可能性も。
しかし、家は長く使えば使うほど傷むものですので、常識的に考えれば適度な補修や改築は必須。そのため、借地借家法の第17条2項で借地非訟の申し立てが認められているのです。
なお、借地契約の更新後に建物の再築をする場合も地主の承諾が必要となります。借地契約更新後の再築となると、次回の更新期限を越えても残る建物になる可能性が高いため、契約の更新期限を調整しなければならないからです。
地主を無視して再築すると、地主は契約の解除ができるようになります。再築関係の申し立てに関しては、借地借家法第7条の1項1項、第18条の1項が根拠です。
民法の第612条では、「他人の所有物を勝手に売ったり貸したりしてはいけない」と規定しているため、借地に建つ家を譲渡する場合は地主の承諾が必要となります。ただ、借地権契約は1対1でお互いを信用して交わす契約です。
借地人が賃借権の譲渡や転貸の許可を出すと、地主は直接借地権のやり取りをする相手が変わってしまい、これまで通り平穏に地代収入を得ることができるかわかりません。
そのため、地主に相談しても承諾を得られない場合があります。そういうときは、借地借家法第19条1項で保証されている申し立てを行い、地主の代わりに裁判所から賃借権の譲渡許可を出してもらいましょう。
なお、借地に建つ家は、地主に優先的な買取権利があることも知っておいてください。もし、地主側から「建物を買いたい」という要望があった場合、第三者ではなく地主に売ることになります。
借地権を手放すタイミングは、借地人が権利を「売りたい」と思ったときだけではありません。建物の住宅ローンが払えず不動産を差し押さえられてしまった、といったケースでは、建物ごと賃借権も競売または公売で競りにかけられてしまうのです。
地主としては賃借人が破産しようとどうなろうと関係はなく、地代と更新料さえ安定していれば問題はないでしょう。
しかし、競売や公売で建物を買った人が賃借権の登記をするためには、地主の許可を得なければなりません。もし地主が賃借権の譲渡について認めなかった場合は、借地借家法第20条1項を根拠に裁判所へ承諾を求めることができるのです。
ちなみに、土地賃借譲受許可申立事件の申し立てには期限があり、競売または公売で無事建物を競り落とし、代金を支払ってから2ヶ月以内に申し立てなければならないと決まっています。
ここまでに紹介してきた借地非訟の中で、やや特殊なものが「介入権」とも呼ばれる賃借権譲受申立事件です。賃借権譲渡許可申立事件の説明でも軽く触れましたが、借地借家法の第19条3項、第20条の2項において申し立てできることが定められています。
賃借権譲受申立事件は、賃借人ではなく地主側が申し出るものです。
競売もしくは公売による賃借権譲渡許可申立事件、または建物及び土地の賃借権譲受申立事件を借地人が申し立てた場合、地主は優先的に建物を買い取ることができるという権利です。建物の買取価格は裁判所が決めます。
借地非訟の申し立ては、裁判所で行うだけあって書類の準備がとても重要です。裁判所のホームページを参考に、必要書類をご紹介しましょう。[注1]
すべての借地非訟で必要な書類は、
以上の8種類です。
ここからさらに、個別の申し立てごとに必要な書類が異なります。
借地非訟では、申立時に借地の価格に応じた手数料を収入印紙で納めます。また、申し立て相手が1人の場合4,380円の郵送代も必要です。相手が1人増えるごとに1,000円ずつ費用も高くなります。
なお、当サイトではこのような借地権取引をサポートしてくれるオススメの法律事務所や不動産会社も紹介しているので、そちらのカテゴリーも合わせてご覧ください。
[注1]裁判所:'第4 借地非訟事件